春から夏に向けてだんだん暑くなりますが、いかがお過ごしでしょうか。新緑の薄緑から深緑にかわっていくように、ひとびとの装いも変化して行きます。冬には食べたいと思わない酢の物も、夏にはおいしく感じるようになります。
個々の漢方に、各々「温める・冷やす」の方向性があり、中庸のものもあります。冬向けの漢方薬や生薬は夏には合わないことが多いので、煎じ薬では季節に応じて中味の配分を見直し、エキス製剤では類似薬の中で変化させたりします。
魔法の漢方や秘宝はありません。「一番すごい漢方」ではなく、「今の自分や季節に合う漢方」が本来の考え方です。季節、天候、生活環境、食べ物、それに合わせて人は生きており、季節ごとの漢方が援助してくれます。
漢方には、フローチャートや血液型占いのようなものでは選びきれない世界がひろがっています。