横浜西口 漢方内科・糖尿病内科

医療法人 養光会 ベイサイドクリニック

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糖尿病をもっとくわしく知ろう!

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糖尿病治療はこんな薬を使います

糖尿病がある程度進行したら、薬による治療を始めます

食事・運動療法を4週間行っても良好な血糖コントロールが得られない場合、食事・運動療法を補う意味で薬物療法を開始します。最近では、比較的軽症の段階から薬を使うケースが増えてきました。
それは、糖尿病の進行と合併症を防ぐには、より早期の段階から、より良好な血糖コントロールを行う必要があるからです。

一口に糖尿病といっても病態は様々です。その病態に合うように、一種類、あるいは何種類かの薬を使って血糖をコントロールします。
糖尿病の治療に使われる主な薬は、インスリン注射液と飲み薬に大別されます。
ここでは各種飲み薬とインスリンについて解説します。

糖尿病治療の飲み薬

飲み薬には、膵臓からインスリンを出させ、体内のインスリン量を増やすことによって血糖値を下げるものと、インスリンを出さずに体内にあるインスリンをうまく利用させることによって血糖値を下げるものとがあります。

インスリンを出して血糖値を下げる薬

スルホニルウレア(SU)薬・速効型インスリン分泌促進薬

どちらも膵臓に直接作用してインスリンを出す薬です。SU剤は速効性はありませんが長時間作用します。逆に速効型インスリン分泌促進薬は飲んですぐにインスリンが出ますが、作用時間が短いため、食事の直前に飲まなければなりません。
これらの薬剤は特に低血糖を起こす可能性があるため、服薬時の注意を必ず守りましょう。

インスリンを出さずに血糖値を下げる薬

α-グルコシダーゼ阻害薬

糖尿病は、食後の急激な血糖値の上昇に合わせて、分泌されるはずのインスリンが分泌されない、また分泌されても量が少ないために、糖をうまく体内に取りこむことができないために起きます。
α-グルコシダーゼ阻害薬は、ゆっくり食べる時と同じような働きをする薬剤で、食物中に含まれるブドウ糖以外の糖分をゆっくり吸収させるため、食後の急激な血糖値を抑えることができます。したがって、インスリンの量が少ない状態であっても、糖を体内に取りこむことができるようになります。
ただし、この薬は食事の直前に飲まないと効果がありません。また、お腹が張ったり、おならが増えたりすることがあります。

インスリン抵抗性改善薬

インスリンが出ているにもかかわらず、筋肉などの細胞がインスリンに反応しにくくなり、細胞にうまくブドウ糖が取りこまれない状態を「インスリン抵抗性」といいます。インスリン抵抗改善薬は、筋肉や脂肪の細胞に働きかけ、インスリンの作用を高めて血糖値を下げる薬剤です。時々、むくみや体重増加などの症状がみられることもあります。これらは、特に心臓の病気がある人に注意が必要です。

ビグアナイド薬

体内に入ったブドウ糖は、一度、肝臓に貯蔵され、再度血中に放出されることで一定した血糖値が保たれています。ビグアナイド薬は、必要以上に肝臓からブドウ糖を血中に放出するのを抑える薬剤です。
胃のもたれや軟便が現われることがあります。また、下痢をしている時や発熱時には、この薬を飲むのはひかえたほうがよいでしょう。

DPP-4阻害薬

食後に腸管で生成されるホルモンでインクレチンというものがあります。 このインクレチンホルモンの中には、インスリン分泌・グルカゴン(血糖値を上げるホルモン)の抑制効果を示し血糖値を低下させる作用をもつ、GLP-1というホルモンがあります。しかし、GLP-1はDPP4という酵素によって2~5分で分解され、働かなくなります。DPP-4阻害薬は、DPP4を阻害してGLP-1ホルモンの作用時間を延ばし、インスリン分泌などを促して血糖値を低下させるお薬です。

GLP-1は食後に血糖値が上昇した時にだけ分泌され、インスリン分泌を促しますので、血糖値が低い時にさらに血糖値を下げてしまう、ということがほとんどなく、単独で使う場合には低血糖が起こりづらい薬剤です。

選択的SGLT2阻害薬

腎臓で、ブドウ糖が体内に戻る量を抑制し、過剰な糖を尿に排泄することで血糖値を下げる経口糖尿病薬です。
2014年に承認されました。
SGLT2は、腎臓近位尿細管というところにだけ存在するたんぱく質で、尿に一旦排出されたブドウ糖を体内に再吸収することを助ける役割をしています。
健康な人は、ブドウ糖を再吸収し栄養分として再利用しますが、糖尿病の人は、たくさんの糖が再吸収され、“高血糖”が続きます。

SGLT2阻害薬は、このSGLT2の働きを阻害することで、ブドウ糖の再吸収を抑制し、ブドウ糖が尿に排泄されるようにすることで血糖値を低下させます。
糖分=カロリーが排泄されるため、体重減少効果も期待できます。
これまでの糖尿病治療薬と異なり、インスリンを介さずに血糖を下げることが出来るため、単独で使う場合には低血糖が起こりづらい薬剤です。
一方で、尿中の糖分が増えると細菌が繁殖しやすくなるため、尿路感染症、膣カンヂタ等の性器感染症に注意が必要です。尿量も増えるので脱水にも注意してください。

糖尿病治療の注射薬

GLP-1受容体作動薬

GLP-1ホルモンを分解するDPP-4を阻害するのがDPP-4阻害薬ですが、薬の構造を、DPP-4に分解されにくいものに少し変えてつくられたのがGLP-1受容体作動薬です。

腸管で生成されるインクレチンホルモンの1つ、GLP-1ホルモンには、[ DPP-4 阻害薬 ]の項でご紹介した膵臓への作用以外にも作用があります。満腹中枢を刺激したり、胃から食物が排出される速度を遅らせて食欲を抑えたりといった膵臓以外の臓器への作用です。

GLP-1受容体作動薬は膵臓への作用だけでなく膵外作用も発揮させることができるので、体重を増やさずに血糖コントロール改善効果が得られると期待されています。この薬剤は2型糖尿病患者さんに適応の薬剤です。DPP-4阻害剤と同じく血糖値が高い時だけインスリン分泌を促すので、単独で使う場合には低血糖が起きづらい薬剤でもあります。

GLP-1受容体作動薬は、特に使い始めに下痢や便秘といった消化器症状がみられることもあります。症状がひどい場合や、治まらない場合は医師に相談しましょう。

インスリン製剤

インスリン注射を使う治療とは簡単に言うと、「からだに足りないインスリンを外から補充して、健常な血糖コントロールを再現する治療法」です。治療に使うインスリン製剤は、私たちのからだに存在するものと基本的には同じです。

上で解説したように、飲み薬の多くは膵臓に直接・間接的に作用してインスリンの分泌を促します。一方インスリン注射は、外からインスリンを注射する薬なので、膵臓を休ませることができ、また、より積極的に血糖コントロールすることができます。

現在使われているインスリン注射は大きく三種類あります。空腹時血糖値を下げる役割を持つ、長時間効果が持続するタイプの薬。食後血糖値を下げる役割を持つ、注射後すぐに効果が出て、効果が消失するのも早い薬。そして、この2タイプを混ぜ合わせたタイプの薬があります。これらのインスリン注射を単独で使ったり、組み合わせたりして使われます。

インスリンの注射器は昔と比べると改良され使いやすくなっており、針も非常に細く痛みも少なくなっています。

インスリン注射は、過量投与や投与タイミングを間違えることで、低血糖を起こす可能性があります。医師の指示にしたがって適切に使いましょう。

薬は正しく飲みましょう

糖尿病の薬はどれも血糖値を下げる働きがあるため、正しく飲まないと低血糖が起こり危険な状態になる場合があります。特に、SU剤などインスリンを出すことによって血糖値を下げる薬を飲む場合は、十分な注意が必要となります。
食事をせずに薬だけ飲んだ、食事の量が多めだったのでいつもより多く薬を飲んだ場合など、薬の飲み方を守らなかった時や、何らかの理由で薬が効き過ぎてしまった場合には、血糖値が低くなり過ぎて、空腹感や脱力感、手足のふるえ、冷や汗、動悸など低血糖の症状が現れます。ひどくなると、痙攣を起こしたり意識を失う時もあります。低血糖の症状に気がついたら、がまんしないでブドウ糖や砂糖、あるいは糖分の入った清涼飲料水を飲みましょう。
低血糖にはブドウ糖が一番効果的です。特にα-グルコシダーゼ阻害薬を飲んでいる場合は、砂糖に含まれる糖分ではなかなか吸収されないため、必ずブドウ糖を飲んでください。
また、体調が悪い時や病気の時も低血糖を起こしやすいので、薬を飲んだほうがよいか医師に相談しましょう。風邪薬や高血圧症、高脂血症の薬には、糖尿病の薬の効き目を高めてしまう薬剤もあるので、薬局で薬を買う時や別の病院にかかる時は、糖尿病の薬を飲んでいることを必ず伝えましょう。
最後に、「くすり」を逆から読むと「リスク」となるように、本来の血糖値を下げる以外にも何らかの影響を体に及ぼすことがあります。定期的な検査を受けたり、不快な症状や気になる症状がある場合には、遠慮なく医師と相談する事が大切です。

糖尿病科担当医 糖尿病科担当医