漢方薬ってどんな薬?
漢方薬は、中国(漢)から日本に渡り、その間数千年の年月をかけて、いろいろな体の異常に効果がある生薬(自然の植物や動物、鉱物など)をいくつも組み合わせて作られたものです。
ドクダミやハーブなど身近な植物がある種の症状に良いといわれ使われてきましたが、これは「民間薬」といわれているもので、いわゆる生活の知恵で、漢方薬として処方されることはありません。
基本は、誰もがもともと持っている、「病気と闘い治す力(自然治癒力)」を高め、体を整える効果を期待するものです。
ひとりひとりの自然治癒力を高めるため、病名で診断することだけでなく、体質や病気の状態によって最適な薬を選び使い分けることが必要となります。
いわゆる「オーダーメイド」の治療といえます。
これは、同じ病気でも漢方の診断では、患者さんの状態によって、飲む薬が違ったり(同病異治)ひとつの薬がいろいろな病気に応用される(異病同治)こともあります。
健康保険が適用される「医療用漢方製剤」
漢方薬は、「自然界にある植物や鉱物などのうち、薬効を持つ」部分を一定の法則のもと、原則として2種類からときには十数種類が組み合わされて作られた配合剤です。
長い年月をかけておこなわれた臨床現場での経験の積み重ねによって、どの生薬を組み合わせるとどんな効果が得られるのか、また副作用などの有害な事象が少ないかなどが確かめられ、漢方処方とし て今日まで残ってきました。
その自然の恵みである天然素材を最新技術を駆使して、薬効を抽出・製剤化し、服用・保存しやすい「エキス剤(顆粒)」として、加工されたものになっています。
現在、病院で処方されている漢方薬の多くは、健康保険が適用される「医療用漢方製剤」で、148処方が厚生労働省に承認されています。
体調不良の治療に効果を発揮
漢方薬は様々な症状を治し、複合的な効果を生ずる場合が多く、これからの高齢化社会を迎えて、いくつもの病気、症状をかかえ、たくさんの薬を飲まなくてはならないお年寄りに、とても適した薬だといえます。
漢方薬にも得手、不得手がありますが、風邪、腹痛、生活習慣病からリウマチなどの難病、抗ガン剤の副作用の軽減などなど多くの病気、体調不良の治療に効果を発揮しております。
更に、西洋薬を併用することにより、いろいろな症状にうまく対応したり、漢方薬を中心に治療しながら急性期などの要所要所に西洋薬を使って、お互いの効能の長所を生かすなど効果的な治療を行う事ができます。
現在、多くのお医者さんが、日常の診療で漢方薬を使っており、大学病院や総合病院に漢方外来をもうけているところが増えています。