冷房病
人間が急激な温度変化にすみやかに対応できるのは、五度以内です。それ以上の変化をたびたび受けているとだんだん体温調節機構がくるってきて、対応ができなくなります。
また冷房のきいた部屋に長時間いたり、冷房の風が当たる体の位置によってもいろいろな病気を引き起こします。
例えば冷房の冷たい風を頭・首・肩・上背部に受けると、頭痛・肩こり・風邪を引き起こしやすくなります。
また鼻の弱い人は鼻炎に、呼吸器の弱い人は喘息になりやすくなります。
上腹部を冷やすと胃痛・腹痛を、下腹部を冷やすと生理痛・膀胱炎・下痢・腹痛を、そして腰以下の下半身を冷やすと坐骨神経痛・こむらがえり・足のだるさ・不眠症を引き起こしやすくなります。
食物療法
冷房の強い職場にいる人の食事は、ぜひとも温かい物を摂って、体内から体を守ることが大切です。漢方の古典『金匱要略』の中には、当帰生姜羊肉湯をいう冷え症の人や冷えが原因となって起こった病気に用いる、いわば薬膳の元祖のようなスープ処方が載っています。 冷房対策には肉なら羊か牛を、そして生姜、唐辛子、クローブ(丁香)など、体を温めるスパイスを多く用いたスープを常用するとよいでしょう。
予防と養生法1
夏場の冷房の季節には、必ずカーディガンか、大きめのスカーフ一枚を用意しましょう。冷房のきいた劇場やレストランでは、途中で中座することがなかなかでにきにくいので、その人の弱い部分が徹底的に被害を受けます。そのとき、一枚のスカーフがどんなに役立つことか。出かける時には忘れずに!
予防と養生法2
寝る前はシャワーでなく、必ず入浴しましょう。 シャワーでは、体の汗や汚れは落とせても、体を温めることはできません。 湯につかることによって、冷房の中でとどこおった血行を回復させるのです。 ですから、入浴後は浴衣などでしっかりと汗をとり、その後の扇風機やクーラーは避けましょう。 さらに、薬湯にすると湯ざめしにくく一層効果的!
株式会社 ツムラ なるほどなっとく漢方薬より【執筆】根本幸夫 (総合漢方研究会医学堂会長)